アレルギー性結膜炎とは

アレルギー性結膜炎は、アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)により引き起こされる結膜の炎症のことです。同じ結膜炎でも、ウイルスや細菌に感染して発症する感染性結膜炎があり、それらの結膜炎との違いとしては、特定の時期や場所で同じような症状を繰り返す特徴があります。

アレルギー性結膜炎のタイプ

季節性アレルギー性結膜炎

代表格が花粉によるアレルギー性結膜炎である“花粉症”です。季節・時期により飛散する花粉の種類は異なります。代表であるスギ花粉、さらにヒノキ、ブタクサ、シラカバなどが原因の花粉として挙げられます。

通年性アレルギー性結膜炎

主にダニ・ハウスダストによるアレルギー性結膜炎のことです。アレルゲンとしては細かくあり、ダニ・カビ・細菌・ペットの毛などが挙げられます。症状に季節性がないため、慢性化しやすいことが特徴です。

巨大乳頭結膜炎

コンタクトレンズアレルギーとも言われます。上のまぶたの裏側に乳頭(大きなぶつぶつ)が多く発生し、炎症を起こす、結膜炎です。アレルゲンとしてはコンタクトレンズに付着したたんぱく質汚れやゴミが挙げられます。

春季カタル

所説ありますが、春季は「若年性」を意味し、季節性ではありません。特に10歳ぐらい年齢の男の子が発症することが多い疾患です。重症化したアレルギー性結膜炎のことを指します。

アトピー性角結膜炎

アトピー性皮膚炎を罹患している方に起こるアレルギー性結膜炎のことです。上述の春季カタルと併発することも多いです。慢性のアレルギー性結膜炎であり、他科のアレルギー専門医と連携し、治療していく必要があります。

アレルギー性結膜炎の症状

主な症状

  • 両目の強いかゆみ
  • 目やに
  • 異物感(ゴロゴロした感覚)・違和感
  • 充血
  • なみだ目

人によって出る症状は異なり、左右の目で症状の現れ方は異なることもあります。

巨大乳頭結膜炎

上述の症状に加え、重症化すると、角膜に傷が入ったりコンタクトレンズが上側にずれやすくなるなど症状が見られます。

春季カタル

重症化したアレルギー性結膜炎なので、上述の症状がひどくなります。それに加えて角膜に傷ができるため、より強い異物感、非常につよいかゆみを伴います。光はまぶしく感じることもあります。

アトピー性角結膜炎

上述の症状に加え、“まぶた”にもアトピー性皮膚炎の症状があります。

アレルギー性結膜炎の診断・治療・対策

診断

アレルギーによる
非感染性

ウイルスや細菌などによる
感染性

結膜炎にはアレルギーによる非感染性のものとウイルスや細菌などによる感染性のものがありますが、患部の所見(症状がある部分の観察)だけで判断することはほぼできません。

そのため、当院では、それらを区別するために、アレルギー反応の検査ができる「アレルウォッチ」を使用し、アレルギーによるものか、感染性のものか絞込みます。

さらに、アレルギー性結膜炎と診断した場合は、患者さんのご希望に合わせて「イムノキャップラピッド」を使用し、8種類のアレルゲンを調べることもできます。この検査は指先からの簡単採血で、8種類のアレルゲンを調べることができます。また採血にてより広範な種類のアレルゲンとアレルギー反応の程度を調べることもできます。

治療

アレルギー性結膜炎に対する治療の中心は薬物療法となります。
その目的は日常生活を送れるように、かゆみなどの症状を軽くすることです。
症状の段階に合わせて、抗アレルギーの点眼薬(抗ヒスタミン・ケミカルメディエーター遊離抑制薬など)やステロイド点眼薬、免疫抑制点眼薬を使用した治療を行います。

アレルギー性疾患の合併症による悪化の可能性や、春季カタルなどでさらなる重症化した場合は乳頭の切開などの外科的治療も行う必要がありますので、ただのアレルギーだ、と軽く考えず、早期の受診をお勧めします。

花粉症

花粉が飛散し始める時期の少し前から抗アレルギー点眼薬を使用することで症状が軽くなり、症状がでる期間が短縮されたりします。
これを初期療法と言い、毎年花粉で悩まされている方は花粉が飛散する前(福岡であれば1月中旬から2月頭)に眼科を受診すると良いでしょう。

対策

対策はとしては、「アレルゲンに極力触れないこと」です。

  • 季節性アレルギー性結膜炎

・マスクや帽子、眼鏡などの着用する。

・帰宅時に身につけているものや洗濯物や布団の花粉を払い落す。

・空気清浄機を使用する。

  • 通年性アレルギー性結膜炎

・こまめな掃除を心掛ける。

・寝具の天日干しや部屋の通気と除湿など室内の環境を整える。

  • 巨大乳頭結膜炎

・コンタクトレンズは毎日洗い、期限を守り、正しく使用する。

当院の診療方針

当院は、アレルギー反応の有無を調べた上で、適切な点眼薬を処方するようにしています。また、患者さんのご希望に合わせてアレルゲンを検査できるようにし、患者さんに寄り添った適切な治療法の提案を行います。
花粉症や慢性的な目のかゆみでお悩みの方はお気軽ご相談ください。