コラム 更新日: 2023/9/14

①単焦点眼内レンズ

その名の通り、焦点(ピント)が1か所に合わせたレンズです。

術後のピントの位置を設定し、遠方がよく見えた方がいい方は遠方に、近くが見えた方がいい方は近方に度数を設定します。

車をよく運転する、ゴルフのボールがよく見えた方がいい、遠くの景色を鮮やかに見たい、などの希望がある方は遠方にピントを設定します。

その代わり近くの手元は見えずらくなります。

スマホや腕時計、新聞などの文字がにじんで見えるので、手元を見るための老眼鏡を使用する必要があります。

逆に針仕事や細かい彫刻など、手元の作業をお仕事にされる方は近くにピント(近視)にした方が喜ばれることが多いです。

この場合遠くを見るときは近視用の眼鏡をかける必要があります。手元を見るときは眼鏡をはずしてみます。

単焦点レンズはよりはっきり、くっきりと、精細な見え方を希望される方に向いています。

②トーリック眼内レンズ

乱視矯正用の眼内レンズです。単焦点レンズと多焦点レンズそれぞれに乱視矯正用レンズはあります。

乱視が強い方にトーリックレンズを入れると乱視が弱くなり見え方がよくなります。

乱視を完全に矯正することは難しいですが、ある程度緩和することで見え方がよくなり術後の満足度が向上します。

③多焦点眼内レンズ

多焦点レンズはこの10数年で非常に大きく進歩しています。

多焦点レンズには2焦点レンズ、3焦点レンズ、焦点深度拡張型レンズがあります。

以前の2焦点レンズでは遠方と近方2か所にしかピントが合わず、その他の中間の見え方があまりよくないという問題がありました。

2017年に焦点深度拡張型レンズが発売され、遠方から中間距離までが途切れることなくよく見えるようになり、多焦点レンズの普及拡大の契機になりました。

2019年には遠方、中間、近方の3つの焦点を持つ3焦点レンズが発売されました。近方は40㎝、中間は60㎝の距離に焦点があい、以前のレンズに比べて近くも見えるため、白内障術後に眼鏡を使用する頻度が減りました。

多焦点レンズで問題だった、コントラスト感度の低下、夜間視力の低下や光がにじんだり(ハロー)ギラギラ見えたり(グレア)、光が星のように広がって見える(スターバースト)などの問題も、新しい多焦点レンズでは少なくなってきています。

術後の患者さんの満足度も非常に高く、術後に眼鏡をかけたくない方の有力な選択肢になっています。

文責 福岡市博多区東雲町 西鉄桜並木駅前 よしやま眼科院長 眼科専門医 吉山慶三